【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 アンヌッカは微笑んでいた。だが、コンラードから直球な質問を受け取ったアルベティーナはどう答えていいのかを悩んでいた。
 シーグルードのことは、間違いなく好いている。シーグルードであるとは知らずに共に仕事をしてきたが、その共に仕事をしてきた男性のことを好いていたのだ。複雑な気持ちであるけれど、彼のことが好きであることに違いはない。
「……はい」
「そうか。ならいいんだ。以前、婚約者候補を辞退したいと言っていたからな。それが気になっただけだ」
 腕を組んでいるコンラードは、ふんと窓に視線を向けた。外の景色を見ることができるわけでもないのに、そちらに視線を向けたのはアルベティーナのことを見たくないからなのだろう。
「ティーナ。お父さまの言葉を気にしてはダメよ。あなたの婚約が決まって、一番悔しがっているのがお父さまなのだから」
 アンヌッカは柔らかな眼差しでコンラードを見つめている。彼女がコンラードのことを思いやっていることがわかるような眼差しだ。アルベティーナもシーグルードとこのような関係を作っていきたいと、心の中でそう願っていた。
「それでティーナ。私に相談したいこととは何かしら? お父さまがいてもいい話なの?」
 アンヌッカは女性同士で、と気遣ってくれているのだろう。
「あ、はい。お父さまに聞かれたくない話は、後でこっそりと」
 アルベティーナが口にすると、コンラードの肩が震えた。女性同士の内緒話が気になるのだろう。
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