【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 普段着ていた、動きやすいハイウェストのドレスに着替える。アルベティーナが好んでいるベビーブルーのドレスだ。身体の締め付けるものがなくなったら、気持ちもやっと解放された気分になった。アンヌッカは少し休んでからと言っていたが、着替えが終わったアルベティーナは、サロンへと向かった。
 そこにはすでにアンヌッカがいてカップを傾けている。ダークグレイの小さなテーブルにワイン色の一人がけのソファが二つ。アンヌッカはあえてその席を選んだようだ。
「あら、着替えたのね。いつものティーナらしいわ」
 アルベティーナはアンヌッカの隣に座る。侍女が黙って、湯気の立つカップを置いた。
「久しぶりに王都に来たけれど、やはり、向こうの方が落ち着くわね。何度来ても慣れない」
「今日は、ありがとうございます」
「娘の大事な日ですもの。駆けつけて当り前よ」
 当たり前という言葉が嬉しかった。
「あの、お母さま。聞きたいことがあるのですが」
 アルベティーナが口を開きかけた時、アンヌッカは侍女に下がるように指示をした。アンヌッカはどこまでアルベティーナの気持ちを理解しているのだろう。
「これで、心置きなく話ができるでしょう?」
 ニッコリと微笑むアンヌッカの笑顔は、アルベティーナが幼い時に見た笑顔と変わりはない。兄たちと年の離れているアルベティーナは、アンヌッカに抱っこをせがむことが多かった。そんなとき、彼女は笑って抱き上げてくれたのだ。
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