【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 守る、という言葉が口から出てくるということは、そうしなければならない状況であったということ。
「だけど。あの王宮があなたにとって安全な場所ではなくなってしまったの。あなたのお母さまが亡くなってしまったから」
 実の母親を失っていた事実を突きつけられ、胸の奥が苦しくなった。
「ちょうどその頃。私も三番目の子をお腹のなかで失ったときでね。それで、あなたを引き取ることにしたの」
 アンヌッカはそこでアルベティーナの肩を抱き寄せた。
「初めて私たちの元に来たとき。あなたは見知らぬ場所で心細かったのでしょうね。あの人の顔を見た途端、大泣きしてね。それに困って、あの人はおろおろし始めたわ。鬼団長も形無しだって、エルッキは笑っていた。年の近いセヴェリが宥めると、あなたはやっと泣き止んでくれて。そこからあなたは私たちの家族になったのよ」
 アルベティーナのことを『家族』と表現してくれたことが嬉しかった。血の繋がりはなくとも、心で繋がっているような気がしたからだ。
「本当はね。あなたをミサンジウダに帰した方がいいのでは、という話もあったの。だけど、あなたのお母さまのことがあったから、王妃陛下がしばらく面倒をみてくださったのよ」
 王妃を見た時に、懐かしい気持ちが込み上げてきたのは、幼い頃の忘れていた記憶が原因だったのだろう。また、デビュタントのときに、王妃から特別に声をかけられたのも、アンヌッカの話を聞いて納得できた。姪であるアルベティーナと少しでも言葉を交わしたいと思ったに違いない。
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