【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「シーグルード殿下が、あそこまであなたに執着しているのが予想外だったけれど」
 くすっと笑ったアンヌッカは、アルベティーナを解放した。
「シーグルード殿下と一緒になるのであれば、安心できるわ。あのときはまだ力がなかったけれど、今であれば、きっちりあなたを守ってくれるから」
 幸せになりなさい、とアンヌッカは口にする。
 その言葉が嬉しくて、アルベティーナはぼろぼろと大きな涙を流し始める。
「もう。本当にティーナは、しばらく見ないうちに泣き虫さんに戻ってしまったのね」
「お母さま……。ありがとうございます」
「何、言ってるの。母親として当然のことをしただけよ」
 母親として。その言葉が余計にアルベティーナの涙を誘い出した。
 アンヌッカから本当のことを聞いたアルベティーナであるが、ヘドマン家の別邸で暮らす間、今までと変わるようなことは何もなかった。ただ、アルベティーナが髪を染めるのをやめてしまったということ以外は。
 それを見て、コンラードも二人の兄もアンヌッカが真実をアルベティーナに告げたことに気づいたのだろう。それでも、彼らは何も口にせず、追及するようなこともなかった。それすら、アルベティーナにはありがたかった。
 そしてアンヌッカは相変わらずアルベティーナを着飾ることに余念はないし、コンラードは領地を離れていることが気がかりなのか、毎日のように領地にいる家令と書面のやり取りをしている。エルッキとセヴェリも騎士の仕事に忙しく、別邸にいたりいなかったりする。だから、家族五人、顔をそろえて食事をするということも、毎日のようにはいかない。
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