【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 それでもアルベティーナは、残りの時間をできるだけ両親と過ごすようにしていた。血の繋がりはなくても、家族だから。
『婚約の儀』の日は刻一刻と近づいてきて、シーグルードに会いたい気持ちと、両親の傍を離れてしまう気持ちの狭間で揺れていた。
 部屋の窓に打ちつける雨をぼんやりと眺めながら、アルベティーナは物思いに耽る。
 あと三日で婚約の儀。明日にはこの屋敷を出て、また王城へと向かう。それ以降、アルベティーナに待っているのは、王太子妃となるための教育とシーグルードと共にいる生活。
 シーグルードが頑なにエルッキやセヴェリと会うことを反対していたのも、アルベティーナが彼らと血の繋がりが無かったからだ。さらに、コンラードがエルッキかセヴェリのどちらかと結婚させようとしていたから。
 それに気付いたのは、コンラードが「このまま、エルッキかセヴェリのどちらかと結婚してもらえたらなぁと思っていた」と、酒の勢いで漏らしたことが原因である。エルッキもセヴェリも父親の思惑にはなんとなく気づいていたようではあったが、アルベティーナを可愛がっていた二人はコンラードの考えに悪い気はしていなかったようだ。
「はぁ……」
 頬杖をつき、ソファにゆったりと座りながらも、アルベティーナはぼんやりとしていた。ぼんやりというよりは、いろいろな考えがぐるぐると彼女の頭の中を支配しているのだ。
 髪の毛を染めるのはとっくにやめていたし、この姿のままアンヌッカと街に出ることはあったが、さほど周囲の目が気にならなかった。それだけアンヌッカが『家族』と口にしてくれた言葉の効果は絶大だった。その『家族』と離れてしまうことが寂しいとさえ思えていた。
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