【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「アルベティーナ様、お迎えに参りました」
「あら? セヴェリお兄さまではないの?」
 アルベティーナの迎えと称して現れたのは、昔の同僚でもあるイリダルだった。
「セヴェリは今、緊急案件で呼び出されまして。私が代わりに」
 だからコンラードも呼び出されたのだろう。
「お母さま。こちら、警備隊で一緒だったイリダルさん」
 イリダルはアンヌッカに向かって深く頭を下げる。このようなピシっとしたイリダルを目にするのも、アルベティーナには変な感じがした。イリダルという男は、いつも一歩ふざけた感じがするからだ。
「ティーナ。きちんと王妃陛下の言うことを聞くのよ」
 アンヌッカの声のかけ方は、子供扱いそのものである。
「お預かりいたします」
 イリダルがアルベティーナの手を取り、馬車へと案内する。その後ろに荷物を手にしたクレアがついていく。
「あら? 思っていたよりも、小さな馬車なのね」
 王城からのお迎えであるし、あのシーグルードのことだから、大きくて立派な豪勢な馬車を準備するのかと思っていた。
「えぇ。あまり派手にしますと、周囲に知られてしまいますからね。ここから王城まではさほど距離はありませんが、護衛の人数が限られているため、それとなく知られないようにアルベティーナ様を迎えに行くようにと言われましたので」
「なるほど」
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