【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「私は、父と共にあそこの民たちを守る義務があると思っております」
「義務、ね……」
そこで、心地よい夜風が吹き抜けていった。その夜風が、アルベティーナの結い上げた後れ毛を弄ぶ。
「あ」
突然、彼女がそのような声を出したことに、シーグルードも「どうかしましたか?」と尋ねる。
「女の人の声が、聞こえませんでしたか?」
それは先ほど吹いた風にのって、アルベティーナの耳元にしっかりと届いていた。
しっ、とアルベティーナが口元の前で人差し指を立てれば、微かに「キャー」という女性特有の甲高い声が聞こえてきた。
シーグルードも皺ができるくらいに眉間を寄せる。
「このような華やかなパーティに、そぐわないような輩がいるようですね」
ため息と共に彼は呟いた。
「殿下。私が先に行って、その女性を助けてまいります。どうかこの件を、お父さまたちにお伝えできないでしょうか?」
シーグルードが答えぬうちに、アルベティーナは手にしていたグラスを彼に押し付けた。そして、白いドレスの裾を持ち上げると、それを夜風になびかせながら駆け出して、次の瞬間、バルコニーから飛び降りた。
「義務、ね……」
そこで、心地よい夜風が吹き抜けていった。その夜風が、アルベティーナの結い上げた後れ毛を弄ぶ。
「あ」
突然、彼女がそのような声を出したことに、シーグルードも「どうかしましたか?」と尋ねる。
「女の人の声が、聞こえませんでしたか?」
それは先ほど吹いた風にのって、アルベティーナの耳元にしっかりと届いていた。
しっ、とアルベティーナが口元の前で人差し指を立てれば、微かに「キャー」という女性特有の甲高い声が聞こえてきた。
シーグルードも皺ができるくらいに眉間を寄せる。
「このような華やかなパーティに、そぐわないような輩がいるようですね」
ため息と共に彼は呟いた。
「殿下。私が先に行って、その女性を助けてまいります。どうかこの件を、お父さまたちにお伝えできないでしょうか?」
シーグルードが答えぬうちに、アルベティーナは手にしていたグラスを彼に押し付けた。そして、白いドレスの裾を持ち上げると、それを夜風になびかせながら駆け出して、次の瞬間、バルコニーから飛び降りた。