【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 マティアスの両腕が再び伸びてきた。
 ぎしっと寝台が軋む。
 彼はアルベティーナに覆いかぶさるように四つん這いになり、彼女が逃げないようにと下半身を膝でおさえつけてくる。これではアルベティーナも足が自由にならない。
(この人……。本気なの? 私、本当に……?)
 さらに逃げられないように、アルベティーナの頬は彼の両手で包み込まれる。顔を動かすこともできない。
「こんなときでも君は、泣きもせず、助けも呼ばないのだな……」
「私が、泣くのを見たいの? だったら、泣くけれど?」
「これから、違う意味で啼かせてやる」
 アルベティーナの心臓は、トクトクと早鐘のように打ちつけている。彼らの話を信じるのであれば、マティアスはアルベティーナと血の繋がりのある兄だ。そのような彼と身体を繋げることが許されるのか。
 口の中に広がっている鉄の味を噛みしめながら、どうしたら彼の下から逃げ出すことができるのかということを、霧がかかり始めた頭で必死に考えていた。
「あのグルブランソンの王太子。君が他の男の子種を受けたと知ったら、どんな顔をするかな。昔からあいつのことは嫌いだったんだ。あいつが君にご執心だっていう話は、こちらまで聞こえていたからね」
 その話の出どころは、間違いなくイリダルだろう。あの王城にいる者ならば、誰でも知っている話だ。シーグルードがやっと婚約者を選び、その相手を溺愛していると。
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