【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 それでも両手の自由を奪われた分だけ、アルベティーナは不利だ。身体も早く起こさないと、また押さえ込まれてしまう。だがそれができないのが縛られている両手のせいでもある。
「あの侍女がどうなってもいいのか」
 クレアの件を忘れていたわけではない。だけど、彼女もヘドマン伯に仕える侍女なのだ。彼女を信じることも必要だと思いながらも、彼女を巻き込みたくないという思いもある。
 アルベティーナは目を大きく見開いて、唇を噛みしめることしかできない。
「いいね。その気の強そうな顔。よかったよ、あまり父上に似ていなくて……」
 両肩を寝台にぐっと押さえつけられる。
「先ほどの薬も、あまり効いていないみたいだからね。ちょっと他のものを試してみようか……。大丈夫、気持ちよくなれる薬だし。それに、僕たちが欲しいのは、君の器だけだから」
 アルベティーナの心臓は痛いくらいに高鳴っている。それが先ほどのお茶に仕込まれた薬のせいなのか、これから起こることに不安を覚えているからなのか。
(別の薬って……。これ以上は……)
 マティアスは再びアルベティーナの足を抑えこむように、彼女の膝の上に座ると、トラウザーズのポケットから怪しげな黒い小瓶を取り出した。ちょうど指二本分くらいの小瓶だ。
「さっきのは飲み薬。飲み物に混ぜて飲ませるんだけどね。こっちは塗り薬。君はどちらがお好みかな」
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