【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 すぐさまマティアスは拘束される。
「アルベティーナ、無事か」
 寝台の上に転がされているアルベティーナの元へ寄ってきたのは、黒髪の騎士。グルブランソン王国の騎士団団長であるルドルフであるのだが。
「団長……、あ。し……シーグルード様?」
「しっ、ティナ。今の俺はルドルフだ」
 ルドルフに扮しているシーグルードは、アルベティーナの両手を拘束していたタッセルを解き、彼女の身体を起こすと上着を脱ぎ、アルベティーナの肩からかけた。
「もう、大丈夫だ。何か、されなかったか?」
「あの時と同じ薬を……」
「だが、解毒薬は持っていただろう?」
「はい……」
 シーグルードの言葉通り、アルベティーナは裏社交界の潜入調査を行ってから、そういった媚薬の類の解毒薬を持ち歩くことにしている。それは、シーグルードがルドルフであったとき、彼の仕事を手伝っている時期に手渡されたものだ。
 あのときアルベティーナが飲まされた薬は、まだ巷に出回っていない新種の媚薬であった。あの場から押収した薬を解析して解毒薬を開発し、念のためにとアルベティーナに持たせていたのだ。
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