【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「ああ。今頃、本物が指揮をとっているから問題ない。私は、君を助けることが目的だったから……」
 シーグルードがアルベティーナをそっと抱き寄せる。
「怖かっただろう?」
「はい……。でも、シーグルード様が必ず来て下さると、信じておりましたから……」
 それにアルベティーナはシーグルードと約束をした。必ず彼の元に戻ると。
 アルベティーナはシーグルードの胸元に顔を伏せた。

◇◆◇◆

 アルベティーナの誘拐事件などなかったかのように、婚約の儀は滞りなく行われた。大聖堂にて、多くの関係者に見守られながら、二人は神官の前で誓約書にサインをする。それが終われば、婚約のお披露目パーティとなる。
 一通りの関係者に挨拶をしたシーグルードは、アルベティーナを外へと連れ出した。
 それはデビュタントのときにも、シーグルードと二人きりになったバルコニーだ。
「ティナ。今日のティナのドレスもよく似合っている」
 会場から届く仄かな光。藍色の空に光るのは、満点の星。月は細く、下の方に輝いている。
「ありがとうございます」
「私が選んだからね」
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