【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 父親が生きていた――。
 その気持ちが、アルベティーナを昂らせている。
「ティナ、大丈夫か?」
 シーグルードがしっかりと彼女の身体を支えながら、気遣ってくれる。
「は、はい……。まだ、信じられなくて」
 この数日、アルベティーナにとっては立て続けに信じられない出来事が多々起こっているようにも感じる。
「私はミラン・グランとして、殿下の乳兄弟という立場になった。ただ君は……、ちょっと危なかったから、ヘドマン伯にお願いしたんだ。少し、この場から離れた方がいいだろうという話になってね」
 そこからアンヌッカの話に繋がるのだ。だが、アンヌッカもコンラードも、アルベティーナの実の父は知らなそうであった。いろいろと噂されているとしか言わず、生きているのか死んでいるのかさえも口にしなかった。
「アルベティーナ。私はマルグレットに戻るよ。そろそろ父を一人にしておくのもかわいそうだし、何よりもあの国はもう大丈夫だ」
 それは前王の子であるマティアスと前王妃であるエステリが捕らえられたからであろう。
「君とシーグルード殿下が婚姻を結ぶことで、二つの国の関係は、より強固なものとなる」
「だけど、私は……」
 アルベティーナは、マルグレットの現国王の娘、つまりマルグレットの王女であることを皆に知らせるつもりはなかった。自分は、アルベティーナ・ヘドマンとして、シーグルードと婚約をしたのだ。ミランもアルベティーナの気持ちに気づいたのだろう。
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