【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「やめなさい、ルドルフ。せっかくの人材に逃げられたらどうするつもりだい?」
「このくらいで逃げるのであれば、使えない人材だったというだけ」
「君は相変わらずだな」
 このように並べば、二人が従兄弟同士というのも頷けるし、シーグルードが彼にかける言葉はどこか砕けたものであり、顔もよく似ている。違うのはその髪の色くらいだろう。シーグルードが金髪であるのに対して、ルドルフはチャコールグレイ。これが同じような髪の色をしていたら、アルベティーナには見分けがつかないかもしれない。それほど二人は似ているのだ。
「ふん。詳しい話は俺からする。アルベティーナ嬢、いや、アルベティーナ。今から俺の執務室に来い。セヴェリは自分の任務へと戻れ。ここまでの案内、ご苦労だった」
「はっ」
 セヴェリも立ち上がれば、ピシリと一礼して立ち去っていく。
 その瞬間、何とも言えない空気に包まれた。恐らく、セヴェリの存在がアルベティーナにとって支えになっていたのだろう。その支えを失ったということが彼女を不安にさせたのだ。
「行くぞ」
 ルドルフに促され、アルベティーナはシーグルードに頭を下げてから彼の後ろをついていく。
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