【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「どうかしたのか?」
「いえ。なんでもありません」
 取り繕うかのようにカップに手を伸ばし、お茶を一口飲んだ。なぜか先ほどのルドルフの笑顔が忘れられなくて、心臓がトクトクといつもより早く鳴っている。
「早速だが。今回の潜入捜査について説明する」
 ルドルフはアルベティーナの隣に座ったまま、今回の任務についての説明を始めた。
 潜入調査の概要は先ほどシーグルードから聞いた通りではあるのだが。
「私にできるのでしょうか……」
 話を聞けば聞くほど、アルベティーナに襲い掛かってくるのは『不安』の二文字。
「ああ。あの殿下の推薦だ。お前ならできる。むしろお前しかできない。裏社交界と呼ばれていても社交界に違いはない。それなりの教養が試される。だが、あのヘドマン伯の娘であれば、そのあたりの心配はないだろう」
 恐らく、作法やダンスのことを口にしているのだろう。ルドルフが言う通り、そのあたりはアンヌッカからびっちりを仕込まれているため、心配はない。心配があるとしたら、その裏社交界と呼ばれる舞台が、どのようなところかわかないことだ。
「はい」
 返事をしたものの、なぜか身体が震えていた。
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