【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 騎士団入団の初日から、まさかこのような大きな任務を任されるとは思ってもいなかった。震える膝の上に軽く握った拳を、大きな手が包み込んだ。ルドルフがアルベティーナの手にそっと自身の手を重ねたのだ。
「お前ならできる。そのために俺がいる。自分を信じなさい」
 震える心にそのような言葉をかけられてしまったら、信じるしかない。と、同時にルドルフという人柄がとても温かいことに気付く。先ほどの()()は衝撃的ではあったが、これからの任務のことを考えれば、仕方のないことだったのかもしれない。そう思ってしまえるほど、今の言葉は不意打ちだった。触れた手から伝わる彼の体温が、アルベティーナから『不安』という気持ちを奪い去っていく。
「お前だけこの警備隊に配置したのも、お前ならこういった特殊任務をこなせると思ったからだよ。警備隊とは表向きの名称だからな。裏の一部では潜入班とも呼ばれている。それだけ、能力に長けた人材が集まっている隊だ」
 そのわりには先ほど、アルベティーナに拳をとばしてきたルドルフであるが。
「はい。団長の期待に応えられるように、この任務。しっかりとこなしてみせます」
 そこで、ルドルフはふっと鼻で笑った。
「緊張も解けたようだな。いや、初日からここで居眠りをしてしまうようだから。元から緊張などしていなかったのだろう」
 ルドルフの手が離れた。今までの熱が空気に晒され、一気に冷えたような気がした。
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