隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 そこからルドルフは今回の任務における背景、重要性などの説明を始めた。
 先ほど、シーグルードから聞いた話と重複する部分はあるが、今、裏社交界と呼ばれる貴族や商人たち、つまり金を持っている者たちの集まりが開かれ、そこで女性や子供たちが取引されているらしい。しかもその取引されている女性と子供には珍しい目や髪の色の者が多いという。恐らく、その珍しい色が希少価値を高めるのだろう。
 さらに、この裏社交界に参加するには、既に参加している者からの招待状が必要であるとのこと。その辺の伝手は、シーグルードが根回ししたとか。さすが、王太子である。というのも、その裏社交界によって、娘が行方不明になったという捜索願が、騎士団の方にも何件か届けられているからだ。自ら望んでその社交界に参加した娘もいるかもしれない。だが、捜索願が出されている大半は、愛した男に騙されていなくなってしまうことが多いらしい。泣きながら相談に来る貴族たちも多いとか。
「そういえば」
 と、アルベティーナは二年前のデビュダントのときに目撃した令嬢誘拐未遂事件についても口にする。それを聞いたルドルフはその場に居合わせなかったものの、シーグルードから聞いて知っていたようで、笑いをこらえているようにも見えた。
 あのとき騎士団で捕まえたプレヴィール子爵だが、やはり裏社交界に出入りしていた男のようだった。むしろ、それの立ち上げメンバーと言っても過言ではないほど。だが、彼が騎士団に掴まったことにより、そのときは裏社交界の動きも大人しくなったらしい。
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