隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 それが活発化してきたのはここ一年ほどであるとのこと。
「アルベティーナ。お前には裏社交界で受けるような格好をしてもらう必要があるが、それも問題ないな?」
「はい。任務であれば」
 そう答えたアルベティーナであるが、裏社交界で受ける格好がどういうものであるのか、想像がつかない。
「できれば、髪の色も変えてもらいたい。染め粉で染めればいい。珍しい髪の色の女性の方が狙われる可能性が高いようでな」
「珍しい色とは?」
 今のアルベティーナの髪の色は赤茶色だ。特別珍しい色ではない。先ほど顔合わせした女性騎士の中にも、同じような髪色の女性が二人いたくらいだ。
「銀だな。その色から銀に染めるには時間が必要だろう。潜入調査の日は、通常任務は休みにする」
「承知しました」
 銀色の髪とルドルフから言われ、アルベティーナはドキリとした。この母親によく似ている赤茶色の髪。実はこの髪の色こそ染め粉で染めている色なのだ。彼女の本当の髪の色は銀白色。アンヌッカから言われ、外に出るときは髪の色を変えていた。まさか、裏社交界と呼ばれる場所で本当の自分の姿をさらすことになるとは思ってもいなかった。
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