【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「あ、申し訳ございません。旦那様」
慌ててアルベティーナが謝罪すれば、ルドルフはくくっと喉の奥を鳴らした。やはり彼はこの状況を楽しんでいるに違いない。
「今から役になりきるというのも、悪くはないだろう。お前の名前は、そうだな、クリスティン。そして俺は、デビッド・ゲイソン」
デビッド・ゲイソン。その名はアルベティーナにも聞き覚えのある名だ。
「ゲイソン商会長、ですか?」
「そうだ。本物の会長は地下牢の中にいるがな」
ゴクリと思わず喉をならしてしまったのはアルベティーナだ。ゲイソン商会長を捕まえたことは騎士団の中では有名な話であるのだが、この建物から一歩外に出れば、ゲイソン商会にゲイソン商会長がいることになっている。それが彼女にとっては不思議だった。地下牢にいるゲイソン会長と、商会にいるゲイソン会長と、会長が二人存在していることになっているのだ。どちらが本物の会長か。ルドルフの言葉を信じるのであれば、地下牢にいる会長が本物で商会にいる彼が偽者なのだろう。
ゲイソン商会もまた、表で売ることができないような怪しいものを取り扱っていた。それは媚薬と呼ばれるものだったり、自白剤と呼ばれるものだったり。一部の過激な人間が喜ぶような薬でもある。それが今回、ゲイソン商会長が捕まった理由でもある。
「ですが、団長がゲイソン商会長を演じるだなんて。お顔が違うのに」
「アルベティーナは裏社交界をよくわかっていないようだな。何も素顔を晒して集まっているわけではないよ。こういった仮面をつけるんだ」
慌ててアルベティーナが謝罪すれば、ルドルフはくくっと喉の奥を鳴らした。やはり彼はこの状況を楽しんでいるに違いない。
「今から役になりきるというのも、悪くはないだろう。お前の名前は、そうだな、クリスティン。そして俺は、デビッド・ゲイソン」
デビッド・ゲイソン。その名はアルベティーナにも聞き覚えのある名だ。
「ゲイソン商会長、ですか?」
「そうだ。本物の会長は地下牢の中にいるがな」
ゴクリと思わず喉をならしてしまったのはアルベティーナだ。ゲイソン商会長を捕まえたことは騎士団の中では有名な話であるのだが、この建物から一歩外に出れば、ゲイソン商会にゲイソン商会長がいることになっている。それが彼女にとっては不思議だった。地下牢にいるゲイソン会長と、商会にいるゲイソン会長と、会長が二人存在していることになっているのだ。どちらが本物の会長か。ルドルフの言葉を信じるのであれば、地下牢にいる会長が本物で商会にいる彼が偽者なのだろう。
ゲイソン商会もまた、表で売ることができないような怪しいものを取り扱っていた。それは媚薬と呼ばれるものだったり、自白剤と呼ばれるものだったり。一部の過激な人間が喜ぶような薬でもある。それが今回、ゲイソン商会長が捕まった理由でもある。
「ですが、団長がゲイソン商会長を演じるだなんて。お顔が違うのに」
「アルベティーナは裏社交界をよくわかっていないようだな。何も素顔を晒して集まっているわけではないよ。こういった仮面をつけるんだ」