【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「せっかくだから、マルグレットの前王派をあぶり出す。クリスティンが前王の隠し子だと思った奴は、お前に接触してくるはずだ。お前をマルグレットの女王とし、王配を狙おうとしている奴がいてもおかしくはないだろう? むしろ前王派はそれを狙っているのではないか? だからこそ、裏社交界の人物はマルグレットの前王派と繋がっていると考えている」
 なるほど、とアルベティーナは頷いた。マルグレット国の前王派が、裏社交界でグルブランソンの珍しい髪の色の女性を選び、商品として扱っているのだろう。と、同時にその事実に吐き気さえ覚える。
「承知しました」
「そのためのその髪の色だ。綺麗に染められたようで良かったよ。これならあそこにいる男たちも騙されるだろうな」
 ルドルフはくくっと喉の奥で楽しそうに笑った。
 だが、アルベティーナとしては、その髪の色に複雑な気持ちを寄せていた。それは、染め粉で染めろと言われたこの銀白色の方が彼女の地毛だからだ。それが珍しい色で、あのマルグレット国の前国王と同じ色と言われたら――。
 隣に座るルドルフに気付かれないように、微かに息を飲んだ。だが、そんな些細な変化でさえ、彼に気付かれてしまったようだ。さすが、団長の地位に就いているだけのことはある。人間観察に優れているのだろう。
「どうかしたのか? 緊張でもしているのか?」
 ルドルフは、ふっと鼻で笑っていた。
「いえ」
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