【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 それに、仮面で人を区別できるとも言っていた。となれば、仮面をすり替えれば、他の者に成りすますことも可能ではないのだろうか。だから仮面でルドルフを判断することはしないようにしようと思っていた。
「クリスティン。行くぞ」
 アルベティーナはルドルフの腕をとり、裏社交界と呼ばれるパーティが開かれている会場へと足を向ける。
「この立派なお屋敷はどちらの?」
「ここは、誰かの所有している屋敷というわけではない。貸し屋敷と呼ばれているものだ。所有者はゲイソン会長だ。地方にいる貴族たちが、王都でちょっとした催しものをしたいときに、この場所を提供する。ようするに、パーティのためにあるような建物だな」
(なるほどね)
 アルベティーナは小さく頷いた。ヘドマン伯爵の王都にある別邸も、お茶会程度ができるサロンはあるが、パーティができるような大広間は持ち合わせていない。だが王都にいる間に、と思う者もいるのだろう。そのような人がパーティを開催するには、このように広くて華やかな建物を借りるらしい。
 建物の扉の前には、黒服を着て仮面をつけた男たちが四人も立っていた。そこで招待状と仮面の確認をするようだ。ルドルフは慣れた手つきでその招待状を黒服の男に差し出すと、黒服の男たちも恭しく頭を下げた。このようなパーティだ。身分を証明するような物は求められず、選ばれた者たちが手にすることができる招待状とその仮面の確認を行う。
 いくら建物の所有者とされているゲイソン会長であっても、それをひけらかすような態度をしてはならない。それが、この裏社交界での暗黙のルールらしい。
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