エリート航空自衛官の甘すぎる溺愛で囲い娶られました~敏腕パイロットの25年越しの一途愛~
「危ない──!」

 雨で視界が悪い中、ほとんど反射的に手を伸ばす。

 指先に子供のぬくもりを感じたものの、咄嗟のことで私も踏ん張る準備ができていなかった。

 必死に手を掴むも、子供の体重に引っ張られて私の身体まで土砂に向かって傾(かし)ぐ。

 ──篠、ごめんね。

 土砂に呑み込まれながら、大好きな人を想った。



 どれほど時間が経っただろう。

 意識を取り戻した私は、自分が瓦礫に挟まれていることに気づいた。

 全身はずきずきと痛んでいるけれど、それ以上の怪我はなさそうだ。

 頭痛を堪えて今いる場所を見回してみる。

 ……暗い。真っ暗だ。目の前に掲げた手も見えないほど。

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