再会彼氏〜元カレは自分を今カレのままだと誤認しているようです~
食事の後、そっとカーテンを開ければ、暗闇に浮かぶ色とりどりのライトが綺麗だった。
「あんま開けるなよ。えっちなことしてるのがバレるかも」
「……っ、してないし!! 」
見られて悪いことは何もないし、そもそも覗く人もいないっていうのに。
シャッとカーテンを閉めたのも、真っ赤になって振り向いたのも、全部律の思惑どおりだったはずなのに。
(……そこ、そんなに優しく笑うとこじゃないよ)
掴みがかる勢いでくっついてしまいたかったのに、本当に可愛いものを見てるみたいな笑顔を見ると、何だか近づけなくなってしまった。
「ほーら、おいで。見えちゃうから、窓に寄りすぎないで」
「み、見えないし、誰も見てないし。何も変なことしてない……っていうか、夜景……ん……」
それも、バレたのかな。
律の方から来てくれて、そっと腰に腕を回して引き寄せられた。
「今からするの。……かもな」
ああ、やっとだ。
やっと、キスしてくれた。
どうせなら、すべてバレてしまえ。
律の腕に掴まったのが、軽い抵抗ではなく「もっと」を求めたからだと。
「夜景なー。俺にはただのネオンだし。窓向いてると、小鈴ちゃんのお顔が見えないでしょ。そろそろ飽きて、こっち来てほしいけど」
でも、そっと重なって離れただけ。
それで終わったキスの後、私はどんな顔をしてるんだろう。
夜景なんて要らない。
律を目に映していたい。
そんな恥ずかしい顔をして、空いてしまった隙間を早く埋めようと必死にくっついてる。
「うん。可愛い。こんな可愛いの、他に見られたら困るからおいで」
誘ってくれるのは律。
でも、誘ってほしそうに待ってるのは私の方だ。
「律は優しいよ」
手を引いてくれた、律の背中越し。
せっかくいつもの調子で言ってくれたのに、唐突にシリアスに戻してしまう。
「私に優しくしてくれるのを、吉井くんが知らないだけ。あ……れだけが、律の性格全部じゃないし。そもそも律が言ったみたいに、人のせ……それに、他人がどうこう言うことじゃないと思……いました! 」
でも、バカっぽい。
重くならずにどれだけ伝えられるかで、頭がいっぱいで。
(……馬鹿丸出しだし、ふざけてるし、可愛さも色気もない……)
情けないやらみっともないやらだけど、改めて律のすごさが分かる。
どれだけ軽くふざけた調子で言っても、重い愛は伝わるし。
重くても、甘さや優しさはふわふわ漂っている。
「思いましたか。だよね。ま、吉井くんがね、俺の最低なところしか見えないのは当たり前なのよ。好きな子の彼氏なんだからさ、いいとこ見たくないのはそりゃそう。俺は、吉井くんのそういう目障りなとこ、嫌いじゃないのにね。残念」
「……寧ろ、嫌いでいいんじゃないかな。それは……」
目障りなのに好きとか。
まるで可愛がってるみたいな言い方は、吉井くんが聞いたら今度こそ殴りそう。
「むこうはそうだろうな。でも、それもわりと普通だよ。だって、俺にはお前がいるっていう余裕があるってだけ」
クスクス笑いながら、頬を撫でられる。
そんなに艶っぽく見つめられて、そっと肌を掠めていくだけなのは、それこそ酸素を奪われてしまいそう。
「俺の最低なところ。一番見てるのは、お前なのにな。それでも、ここに来てくれたのに。また見せて、ごめん。なんて、謝っておきながら」
『可愛い……』
「そう思うのは止められない。今だって、俺の心配して一生懸命になって。何とかしなきゃって泣きそうな顔見て、悪いって思いながら同時に」
――欲情してる。