麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ

折れかけた心

南玉連合内部から仕掛けた本郷麻衣の策略は、その完遂直前で紅丸有紀による驚天動地の奇策によって阻止され、相川夏美がかろうじて一矢を報いた形に終わる。麻衣は、深い挫折心を抱くのだが…。

”怪物”紅丸有紀のウルトラCと夏美の逆転劇は、かくして成す…!‽


その1
夏美



K駅に着いた…

駅の伝言板には、メッセージがあるはずなんだけど…

「おい、夏美、これじゃないか?」

”2F5031HG”

「ハイガールズ…、間違いないわ。達美、立体駐車場へ行きましょう」

私たちは駆け足で、K駅前の立体駐車場2階へ向かった

二人がしばらくの間、駐車している車のナンバーをチェックしていると、クラクションが鳴った

「ブオーン…」

ライトもパッシングしたので、二人が振り向くと、その車のナンバーは”5031”ナンバーだった

あれだ…

私たちは、その黒いワゴン車に向かって小走りした

「お疲れ様、刃根さん、相川さん…」

声の主は、車から降りてきたミキさんだった


...



「遅くなりました…」

「じゃあ、中へ入って」

「失礼します…」

私たちは後部座席に座った

「よう。二人とも、しばらくだな…」

車内の反転した正面のシートには、紅子さんがどっかと座っている

「あ、お久しぶりです、紅子さん」

私たちは、一度シートに下した腰を少し上げ、中腰で挨拶だ

「はは、その顔色じゃあ、そうとう叩かれたようだね」

紅子さんは、私たちの顔を交互に見ながら、そう言った

両手を頭の後ろにあてがって、両足はシート上で胡坐だよ

貫禄あるなぁ…、相変わらず

「じゃあ時間もないし、早速、今日の状況を話してくれるかしら?」

紅子さんの左隣に掛けたミキさんが、切り出した

「はい…」

私たち二人は、同時に返事をした


...



私と達美は、今日の幹部会の経緯について、一通りの説明をした

「なるほどな…。ミキ、こっちの予想通りだったようだな」

「そうですね。二人とも、とにかく今日はよく凌いでくれたわ。あなた達が即辞任となれば、手遅れだったから…」

「あの…、それって…」

私はつい、そう口走った

「あんたらも薄々、察してる通り、今回の一連の件は、本郷とかって1年が黒幕だろう。まあ、今の段階じゃあ、推測だけどな」

紅子さんがさっきの恰好のまま、さらっと言ったわ

「…」

私と達美は、思わず顔を見合わせた





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