秘密の出産だったはずなのに救命医の彼に見つけられてしまいました
翌日の検診で順調に育っているのが確認できると師長に連絡を取った。
こんな形で辞めてしまうのは不本意だが、まだ食事もままならず、痩せ細り体力もなくなってしまった妊婦の私が復職できるとは思えない。
師長からは出産後に戻ってもいいから、と声をかけてもらい退職の手続きを取ってもらった。
私は未来に手伝ってもらい引っ越しをした。
未来にも内緒にしようと思っていたがそれを彼女は許さなかった。
赤ちゃんを抱かせてくれる約束でしょ? と笑ってくれた。
私は電話番号を変え、実家の近くにアパートを借りた。両親は未婚の娘を心配し、出産を反対されたが私の意思の強さに根負けした。自宅に帰るよう言われたが、未婚の娘が子供を産むなんて周りの人の目もあるだろう。それでも困った時に助けてもらえるお互いの折衷案のような場所にした。
未来は2時間かかる私のアパートへ何度も何度も来てくれて出産まで支え続けてくれた。
最後まで私の母子手帳には父親の欄は空白のままだった。







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