再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
斗真side
この前優里からどうしても会いたいと言われたが都合がつかず、会うことができなかった。まだ2年目の俺は救急に回ってからはますます仕事にのめり込むようになり、優里との時間を疎かにしがちだった。
上司に少しは休むように注意され、今日は早く帰らされ、明日も休みになったので優里の部屋へと足が向いた。
あの時の優里はいつもと違ったと今更ながら考えた。いつもなら仕事が忙しいと言うと彼女も理解を示してくれたのに、あの時はいつでもいいから会いたいと頑なだった。
どうしたのだろう。
何だか嫌な予感が今になって背筋を冷やしてきた。
優里の誕生日以来、随分と久しぶりに来た彼女の部屋。
しかし貰っていた合鍵を差し込むが回らない。
部屋を間違えたのかと視線を上げるが部屋番号は間違えていない。
不思議に思いまた差し込むが、変わることなく開錠しなかった。
不思議に思い、俺は優里に電話をかけたが繋がらない。
鍵も開かず、連絡も取れないため俺は優里にメッセージを送ると自宅へと戻った。
その日に優里から返信が来ることもなく、それどころか既読になることすらなかった。
おかしいな、とは思った。
けれど久しぶりの休みに疲れ切った俺の体は睡眠を欲し、一日中寝て過ごしてしまった。
翌日でさえメッセージの一つも返してこないのは今思えばおかしかったのに何故かあの時の俺はそんなことも抜け落ちてしまっていた。
俺は日々の忙しさにかまけ、また優里との連絡を途絶えさせてしまった。
優里が何を考え、何を思っているのか分かっていなかった。