再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
ハッと目を覚ますと窓の外は夕焼け色になっていた。
隣の部屋で聞こえていたはずの声が聞こえてこない。
扉を開けると紗良と斗真が仲良く昼寝をしていてホッとした。紗良のお腹には斗真のものらしいシャツがかけられていた。
並んで寝ている姿は親子のよう。
本当だったらこんな未来があったはずなのに……。
私がしばらくふたりの寝ている姿を見ていると、斗真が目を覚ました。

「優里? 体調はどう?」

「うん。ありがとう。すっきりしたよ」

「そうか、良かった。紗良ちゃんはあのあと1時間くらい遊んでたんだけど、急に俺の膝に乗って来て、そのまますぐに寝ちゃったんだ」

斗真はまだ寝ている紗良の頭をそっと撫でながら「可愛いなぁ」と繰り返している。

「斗真のせっかくの休みを潰してごめんね」

「俺がしたくてしたんだ。それに優里や紗良ちゃんにまた会いたくて来たんだ」

そう言えば偶然公園に来たわけではなかったのだろう。頭の回らなかった私は気が付かなかったが、斗真は都心で働いてるんだからこんなところにたまたまいるわけがない。
今さら気がついてしまったがどう反応していいのか分からない。

「きょ、今日休みなの?」

「ああ。明日は日勤だけどな」

「そう。じゃ、帰らないと。本当に助かった。ありがとうございました」

私が頭を下げると、斗真の手が伸びて来た。
紗良のように私も頭を撫でられると、その手の感触に顔が熱くなる。

「無理しすぎるな」

「無理じゃない。今日は体調が悪かったけどいつもじゃない。それに私が頑張らなきゃ子供は育てられないの」

紗良の面倒を見切れていないと言われたような気がしてショックだった。

「そうじゃない。優里は元から頑張りすぎるんだ。紗良ちゃんがこんなに明るくていい子なのは優里が頑張って育てているからだってわかってる。でも疲れる時だってあるだろう? 俺にも手伝わせてくれないか?」

「斗真には関係ない。困ったら両親もいるから平気」

「優里の両親は近くにいるのか?」

「うん。だから大丈夫なの。斗真も気にしないで」
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