再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
もっとゆっくりしようと言う斗真を宥め、手早く食材を買うと私たちは家へ帰った。

斗真を強引に寝室へ連れて行くと紗良と一緒に昼寝をするよう促した。紗良もあと1時間くらいは昼寝をするはず。斗真は仕方なく私に従うが、少しして部屋を覗いてみると爆睡していた。
やっぱり……。
そっと扉を閉め、作り置きの準備をし始めた。
普段から土日の間に作り置きしておくと楽なので昼寝の時間にこなしている。今日はさっき食材も買ってきたので早速取り掛かった。
チキンのトマト煮込み、ひじきの煮物、肉味噌、ほうれん草の胡麻和え……日持ちして食べれられる常備菜を時間が許す限り作って行くのが私のやり方。途中で紗良が起きたらおしまい。今日は斗真と寝ているからかなかなか起きてこないので更にマカロニサラダやにんじんしりしりまで仕上がった。

ゴソゴソ音がし始めたため寝室を見に行くと紗良だけ起きていた。
私が手招きすると紗良はトコトコと歩いてくる。

「とーまがねてるよ」

「そうだね。もう少し寝かせてあげようね。その間におやつ食べない?」

そう言うと抱き上げ、隣の部屋へと連れて行く。おやつを食べたり、絵を描いたりしているとガタンと大きな音がして斗真がリビングへガバッと顔を出してきた。
慌てたような表情で髪の毛は乱れ、寝癖までついている。

「ごめん、寝過ぎた!」

今は18時を過ぎたところ。14時くらいに帰ってきたから4時間くらいは寝れたのだろうか。
来た時よりはずっと顔色もいい。やはり寝不足だったのだろう。

「何か飲む?」

私は立ち上がり、キッチンに向かった。

「ありがとう」

斗真はオロオロしていたが紗良に声をかけられ、近くに座った。すると斗真のあぐらの中に自然と紗良は入っていた。

「紗良ちゃん、ごめんな。寝坊しちゃったよ」

「いーよー」

気安い返事に肩の力が抜ける。
麦茶を出すと彼は一気に飲み干した。
紗良は早速遊んでもらおうと一生懸命に話しかけていた。そんな微笑ましい姿は親子そのものだった。
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