再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
私の仕事は土日は休み。それはこの前話したから斗真も知っているはず。けれどいるか分からないのは連絡先を交換していないから?
今さらだけど私は彼の連絡先を消去した。そして番号も変えた。だから彼から連絡する手段はない。もちろん私から連絡する手段もない。だから彼は賭けのように当直明けなのにやってきたのか。
「ID交換しよう」
「いいのか?」
斗真からは言いにくかったのだろう。彼は連絡を断たれた側だ。また教えて欲しいと言い出すのは難しかっただろう。
「うん」
私はスマホを取り出すと彼と交換した。
ふと気がつくと彼のアイコンは昔のまま、私と出かけた時に撮ったある教会のステンドグラスの写真だった。軽井沢に遊びに行った時、散歩していて偶然見つけた小さな教会。その教会には小さいけれど素敵なステンドグラスがあり、ふたりで写真を撮ったのだ。そして、いつかここで式をあげたいと話したのを思い出した。夢の話のようなもので現実的ではないのかもしれない。けれど静かな森の中で、小さいかもしれないけれど素敵な教会であげたいと思ったのだ。
斗真がまだこのアイコンだとは思ってもいなかったが何もいえなかった。
反対に私のアイコンはすでに紗良の赤ちゃんの頃のものになっていてあの頃のものとは違っていた。
「紗良ちゃんは赤ちゃんの頃から可愛い顔してるんだな」
斗真にそう言われるとつい微笑んでしまう。
私には天使のように可愛い子だが、人に褒められると更に嬉しくなるのは親バカだからなのだろう。
謙遜することなく、うんと言ってしまった。
「ねぇ、斗真。もう帰ろうよ。うちで休んで」
「嫌だ」
「どうして? 寝ないとダメだよ」
私が諭すが彼は首を縦に振らない。
「やっとふたりに会いに来れたんだ。寝ていたらもったいない」
「斗真の身体が心配だよ」
そう言うと彼は少し俯き、耳の辺りがほんのり赤くなったように見えた。
「優里は今でも俺のことを心配してくれるのか?」
「え?」
「あ、うん……。だって斗真の手には多くの人の命が預けられてるんだもん」
「そうだよな」
少し淋しげな顔になってしまった彼の顔になぜか後ろ髪を引かれる。
医者としての斗真ではなく、彼自身の心配をして欲しかった?
ふと思い浮かんだその考えだが、すぐに打ち消した。
彼に絆されてはダメ。もう後悔したくない。
彼の欲しい言葉は分かってしまうが、今は言えない。
今さらだけど私は彼の連絡先を消去した。そして番号も変えた。だから彼から連絡する手段はない。もちろん私から連絡する手段もない。だから彼は賭けのように当直明けなのにやってきたのか。
「ID交換しよう」
「いいのか?」
斗真からは言いにくかったのだろう。彼は連絡を断たれた側だ。また教えて欲しいと言い出すのは難しかっただろう。
「うん」
私はスマホを取り出すと彼と交換した。
ふと気がつくと彼のアイコンは昔のまま、私と出かけた時に撮ったある教会のステンドグラスの写真だった。軽井沢に遊びに行った時、散歩していて偶然見つけた小さな教会。その教会には小さいけれど素敵なステンドグラスがあり、ふたりで写真を撮ったのだ。そして、いつかここで式をあげたいと話したのを思い出した。夢の話のようなもので現実的ではないのかもしれない。けれど静かな森の中で、小さいかもしれないけれど素敵な教会であげたいと思ったのだ。
斗真がまだこのアイコンだとは思ってもいなかったが何もいえなかった。
反対に私のアイコンはすでに紗良の赤ちゃんの頃のものになっていてあの頃のものとは違っていた。
「紗良ちゃんは赤ちゃんの頃から可愛い顔してるんだな」
斗真にそう言われるとつい微笑んでしまう。
私には天使のように可愛い子だが、人に褒められると更に嬉しくなるのは親バカだからなのだろう。
謙遜することなく、うんと言ってしまった。
「ねぇ、斗真。もう帰ろうよ。うちで休んで」
「嫌だ」
「どうして? 寝ないとダメだよ」
私が諭すが彼は首を縦に振らない。
「やっとふたりに会いに来れたんだ。寝ていたらもったいない」
「斗真の身体が心配だよ」
そう言うと彼は少し俯き、耳の辺りがほんのり赤くなったように見えた。
「優里は今でも俺のことを心配してくれるのか?」
「え?」
「あ、うん……。だって斗真の手には多くの人の命が預けられてるんだもん」
「そうだよな」
少し淋しげな顔になってしまった彼の顔になぜか後ろ髪を引かれる。
医者としての斗真ではなく、彼自身の心配をして欲しかった?
ふと思い浮かんだその考えだが、すぐに打ち消した。
彼に絆されてはダメ。もう後悔したくない。
彼の欲しい言葉は分かってしまうが、今は言えない。