囚われのシンデレラーafter storyー
それからの私は、とにかく仕事をした。
そうしていれは、あの人の近くに行ける――。
"――この案件は、クラウンパリの今後のイメージ戦略にとって大きなものになる。
各国首脳が集まる。世界中のメディアが集まり、放映される。そこでうちのホテルが映し出されることの意味は、一般広告の比じゃない。
数あるデラックスホテルの一つという立ち位置から、格式あるホテルへとワンランク上げられる。
それだけは、自らの広告宣伝ではできないことだ。第三者から認識される必要がある。今回は、その大きなチャンスだ"
会議の中央に立つ西園寺さんを見つめる。
明瞭で安心感のある話し方。
一つの目的を皆に共有させる。
"営業部そのほか、関係部署と連携が重要になって来ますから、コミュニケーションは密にしてください。経営陣と現場との間に入るのが我々の仕事だ。
ほんの些細なことでも、曖昧にいないでほしい。それが後々大きなミスに繋がる。
来週の全体ミーティングまでに、各担当の業務の割り当てについてだが――"
セクションごとのリーダーの意思を尊重しながら、的確な指示を出す。
その下で働く者の信頼感は計り知れない。
毎日、その姿を見て、仕事ぶりを見せられて。どうやって、諦めろと言うのだ。
仕事をしている時の姿は、一段と魅力的で。
少なくとも、この瞬間の姿を西園寺さんの恋人は見ることは出来ない――。
それだけが、今の私に持てる唯一の優越感だ。
会議の後、セクションマネージャーのランベールと早速打ち合わせる。
”アリサは、営業部との打ち合わせの時に必要な経営分析資料の作成を頼むよ”
”はい、分かりました”
早速、部下であるスタッフにも指示を出し、作成にとりかかる。
”こんな感じでどうでしょうか。うちの持つイメージを分かりやすくレイアウトしてみたのですが”
2日後、ランベールに作成した資料を提出した。
”――うん。分かりやすいな。視覚に訴えて、いいと思う。これで、ヨシタカのところに持って行ってみよう”
私としても、自信があった。ランベールからゴーサインが出る。
二人でマネージャー室に向かった。
”アリサのレイアウト、見やすくていいと思うのですが、どうでしょうか”
”確認します”
私が作成した資料を、西園寺さんが見ているのをランベールと2人並んで立ち待っていた。
”……いかが、でしょうか”
西園寺さんが何も言わないでいたので、しびれを切らしてつい聞いてしまう。
そうしたら、西園寺さんが顔を上げ口を開いた。