囚われのシンデレラーafter storyー
これまでの経験と、女の勘が私に訴える。
今ここにいるのは、これまで見て来た西園寺さんじゃない。
今なら少し、その心に踏み込めるかもしれない――。
西園寺さんが何かを発する前に、口を開いていた。
”あ、あの――今日は、本当にすみませんでした。余計なことを言ってしまって……でも、それなのに上手く返してくださって、本当に――”
”君に、日本でのことを黙っていてくれと一度でも頼んだか?”
”え……?”
ほんのわずか数秒前まで、あんなに寂し気な背中をしていたくせに。その声も視線も、氷のように冷たい。
”何を言われようと構わない。隠せることだとも隠そうとも思っていない。一切気にしないでくれ”
”ありがとうございます。そう言っていただけると、少し気が楽になります。でも、さっき言ったことは私の本心なんです――”
その身体が近付く。
”本当に西園寺さんのことは尊敬しています。だから、こうして一緒に働けることが光栄で、私、あなたの役に立つならなんでもしたいと思っています。私なら――”
これくらいは言わせてほしい。
『尊敬』という言葉を出されて、嫌な男はいない。
それに、これは本当に私の嘘偽りない想いだ。
あなたの傍にいるのは私なんです。彼女じゃない。あなたの傍にいて力になれるのは、触れられる場所にいるのは私なんです。それに早く気付いて。私を見て――。
この人が、欲しくて欲しくてたまらなくて。
出会ってからずっと抑え込んで来た恋心が込み上げて、自分にブレーキを掛けられなくなる。
私たち以外誰もいないこの空間で、焦がれて仕方ないその人に一歩近付く。
どうか――。
”だったら、君にしてほしいことはただ一つだ”
真正面に立った西園寺さんが、私にその鋭い視線を落とす。
”何でもおっしゃってください――”
嫌でもこの声に感情が込められてしまう。
”俺を手に入れようなどという浅はかな考えは、今すぐ捨てろ”
……え?
地を這う低く冷たい声と、ナイフのような言葉だけが耳に届いて。
すぐには理解できない。