囚われのシンデレラーafter storyー

 荒げた声に身体が固まって動かないでいると、西園寺さんが胸ポケットから何かを取り出した。

「さもないと、今後の自分のキャリアは全て失うと思え」
「え……?」

上手く脳は働かないのに、ガタガタと震える。

「おまえの実質的な人事権は俺にある。それに。オフィスで上司にこんなことをして、許されると思っているのか?」
「そ、そんな……、わ、私があなたに襲われたと言えばいい。女で部下である私の方が有利に働くはず――」

この状況を理解することを脳が拒否して。
苦し紛れの言葉を吐き出していた。

「……ここに、全部録音されている。さっき、おまえが自分で言ったんだ。『自分から誘うのは初めてだ』と」

一見ボールペンに見えるものを私に示し、それをすぐにしまう。

「録音なんて……」
「さっさと離れろ!」

力なく床に崩れ落ちる。
そんな私のそばに容赦なく立つ、汚れひとつない革靴が見えた。

「どうして……。どうして、ですか……」

どうして。
どうして、ダメなの……?

惨めでみっともない自分に、心から絞り出たような掠れた声が漏れた。

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