囚われのシンデレラーafter storyー
午後になって時間も経つと、少し陽射しが和らいで、近くにあった大きな公園を歩いた。都心の真ん中にありながら、広大な緑がある。
手を繋いで歩いていれば、ここが東京だということさえ忘れてしまいそうになった。
「――仕事、大変だったか?」
「はい。いろいろ目まぐるしく、言われるがままに連れて行かれたって感じです」
「体調だけは気をつけろよ? 少し、痩せたんじゃないか?」
歩きながら、佳孝さんが私の顔を覗き込んで来る。
「そうですか? 自分じゃ分からないな。でも、大丈夫ですよ。この通り、元気です」
そう言われてみれば。
練習に仕事、移動とで、あまりしっかり休めていなかったかもしれない。
慣れないことばかりで、肉体的疲労より緊張から来る精神的疲労の方が大きかった。
大きな公園の敷地内にカフェも併設されていた。休憩も兼ねて、そこに入り窓際の席に向かい合って座る。
「――テレビにも出たんだろう? 初めてのことで、緊張したんじゃないか?」
私はアイスコーヒーとチーズケーキ。佳孝さんは、コーヒーだけを頼んだ。
「それはもう! 生放送だし、自分がどんなことになっているのか思い出すのも恐ろしくて、母が録画したものは意地で観ていません!」
そう言うと、佳孝さんが笑った。
「確かに、見直したくない気持ちは理解できる」
「でも、佳孝さんがテレビに出ていた時は、すごく、カッコ良かった。何の問題もなかったです」
「あずさだって問題ないよ」
「観ていないくせに無責任な!」
怒ってみせると、佳孝さんがその目を細めて私の頭に手のひらを置き、そのまま撫でた。
「大人なあずさで上手くやり切っていても、緊張で焦っていても、どれでも結局あずさだから」
「……って、そ、それは、佳孝さんの視点でしかありませんよ」
そんな目で見つめられるのは、未だに慣れなくて。つい、視線をそらしてしまう。
「――指揮者との顔合わせもしたんだろう? どうだった?」
佳孝さんがその話題を振って来た。
まだゆっくり伝えられていなかったので、その話題に飛びつくように身を乗り出す。