囚われのシンデレラーafter storyー


 東京公演のリハ―サルが行われるまでの日々は、ほとんどの時間をバイオリンに充てた。

 コンクール本選のために、何度も何度も練り直し完成させたと思っていたはずのチャイコフスキーヴァイオリン協奏曲。

でも、松澤さんに言われたことで、もう一度、曲の構成を考え直した。

感情をコントロール――。

緻密に表現を構成して、計算して。いろんな音色を試しては繰り返す。

 聴いておけと言われたブラームスとシベリウスも練習の合間に聞いては分析して。そして、松澤さんがどんな指揮をするのか知るために、松澤さんが指揮したオーケストラのDVDを観た。

 そんなことをしていれば、いくら時間があっても足りない。

 寮に戻り、佳孝さんと電話をする約束の時間まで、調べ物をしたり曲のことを考えていたりしたら寝落ちしてしまったこともたびたびあった。

 ハッと目が開いた時には、もう深夜で。慌ててスマホを手にしたら、そこには2回ほどの着信履歴とメッセージが残されていた。

”また、明日。身体だけは大事にな。おやすみ”

そのメッセージを読んで突っ伏す。

また、今日もやってしまった――。

< 155 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop