囚われのシンデレラーafter storyー
その夜、松澤さん、コンサートマスターをはじめとした団員の方数人と植原さんとで、小さな打ち上げと称して近くのダイニングバーに向かった。
「今日はお疲れ様! 乾杯」
コンサートマスターの増田さんの音頭で乾杯をする。隣に座る松澤さんや他の人たちとグラスを合わせた。
「それにしても、進藤さん凄かったね。リハの時から一段も二段も飛び越えて来て、後ろで聴いていてびっくりだったよ」
そう言って増田さんが笑う。コンマスの増田さんは、楽器を持っていなければ、居酒屋などでその場を一番に盛り上げそうな気の良いおじさまという感じだ。
「自分でも見えない力が湧いて来るみたいで、楽しくて仕方なかったです。それもこれも、私を引き上げてくださった松澤さんと、最高のオケで私を支えてくださった皆さんのおかげです。ありがとうございました」
改めてここにいる人たちに頭を下げると、増田さんの陽気な声が飛んで来た。
「いやあ。松澤マジックは知っているけど、今日はいつも以上だったのでは? ねぇ、松澤さん。いつもより松澤さん、楽しそうに棒を振っていましたよ」
「そうなんですか、松澤さん?」
植原さんがわざとらしく身を乗り出す。
「私はいつだって最高のパフォーマンスをするべく指揮をしている。ただ、ここまで自分の予想を超えた演奏をするソリストは初めてだったかもしれないな。まったく、彼女は底が知れない」
「ほらね、やっぱりだ」
そう言ってもらえれば、素直に嬉しい。