囚われのシンデレラーafter storyー
夕方過ぎ、スーツケースとバイオリンケースを手に、シャルルドゴール空港に降り立った。
出迎えの人たちで溢れる到着ロビーで、西園寺さんの姿を探す。
「――あずさ!」
私を呼ぶ声が耳に届く。
その声の方に振り向くと、こちらに駆け寄って来る西園寺さんが視界に入った。
「待たせたか?」
「い、いえ! ちょうど今、出て来たところです。お仕事のある日なのに、迎えに来てくれてありがとうございます」
私のそばまでたどり着いたその姿を見つめる。
久しぶりに見る、西園寺さんのスーツ姿――。
ライトグレーのスーツに水色のシャツ。その溢れる爽やかさに、私の胸は正直に反応する。
どこか、あの頃と少し雰囲気が変わった気がするのはここがフランスだからだろうか。
ノーネクタイで首元が緩められているせいもあるかもしれないけれど、肩の力が抜けた感じがする。そして、それがまた、爽やかなのにセクシーで。
結局、以前の西園寺さんも今の西園寺さんも、どちらもかっこいいのだけど――。
こうして顔を合せたばかりの瞬間は、どうしてもその顔を直視出来ない。
「仕事は早めに済ませておいたから大丈夫。じゃあ、とりあえず夕食だな。タクシーでパリ市内に向かおう」
そう言うと、西園寺さんが私のスーツケースを取り歩き出す。
「すみません――」
「行こう」
今度は私の手を握り締めた。
「は……はいっ!」
私に向けられた優しい微笑みと、手のひらとが、この先の時間を思って胸を甘くする。