囚われのシンデレラーafter storyー
「……分かってくれ。俺は、あずさが公演のために必死に頑張っていたのを知っているから。その努力が報われてほしいんだ」
きっと――。
いくら私が大丈夫だと言っても、佳孝さんの不安が拭い去れるわけじゃない。
どれだけあなたのせいじゃないと言っても、決して佳孝さんの心を楽にはしないのだ。むしろ、私が大丈夫だと言えば言うほど、佳孝さんを苦しめる。
それが分かってしまった。
佳孝さんは、私の状況を実際に目にしたわけじゃない。
倒れて病院に運ばれたと言葉で聞けば、その事実を最大限に受け止めてしまう。ただでさえ、昨晩のことが佳孝さんを苦しめているはずだ。
そんなこと、佳孝さんの立場を自分に置き換えればすぐに分ること。
自分の感情ばかり押し付けてはいけない――。
「――分かりました。少し横になります」
溢れそうな感情を懸命に呑み込み、声を絞り出した。
「ああ。そうした方がいい」
大切に扱うように私の肩を抱いて横たえると、ベッドの掛布団を私の身体に掛ける。
「夕飯、何が食べたい? 外に出かけるのは止めた方がいい。俺が何かルームサービスを頼むよ」
横たわる私の顔を上から見つめ、優しく髪を撫で頬に指を滑らせる。
「そうだな……。スープとサラダとグラタンが食べたいです」
「分かった。それだけ食べられればいいな。今すぐ頼むから、料理が来るまでゆっくり休んで」
一緒に――。
喉まで出かかった言葉をそのままのみ込む。
その後、ルームサービスの料理が運ばれてくると、「明日も部屋から出なくて済むように」と言って手軽に食べることの出来る食料を買いに出掛けてしまった。
本当なら、今頃佳孝さんの部屋で、二人で食事をとりながらお祝いしていたはずだった――。
のろりとコーンスープをスプーンですくい、それを口に運ぶ。ただの液体として喉を通す。