囚われのシンデレラーafter storyー
「佳孝さん。今日は心配かけちゃってごめんね」
(ああ、ほんとだ。本当に心配した。でも、あずさを愛し過ぎてるから、心配するなと言う方が無理なんだ。心配するのもおり込み済みだよ)
冗談ぽく佳孝さんが言った。
(誕生日、あずさが楽しみにしてくれていたのは知ってる。今日こうやっておめでとうと言ってくれただけでも、凄く嬉しかった。でも、今度ゆっくり会った時、いろいろしてもらうからそのつもりで)
「いろいろ……? さっき、コンチェルトをプレゼントするって言いましたよ?」
(延滞料ということで、追加を頼むよ。さて、何をしてもらうか今からじっくり考えよう。なんだかワクワクするな)
「私は、怖いですけど」
つい笑うと、佳孝さんが少し真面目な声になる。
(少し、元気になったな)
「え……?」
(今度こそ、ちゃんとぐっすり眠れそうか?)
佳孝さんの声は、本当に私を包み込む。
「眠れそうです」
(良かった)
スマホを両手で握りしめて「おやすみなさい」と告げる。
(おやすみ)
その声で、ゆっくりと瞼を閉じた。
それから、佳孝さんは仕事帰りに差し入れを持って少しの時間会いに来てくれるようになった。少し会話をする程度だったけれど、それだけで癒された。
体調は完全回復だ。
残された時間、これまで以上にバイオリンに集中する。自分の中で"絶対にいい演奏をしたい"という気持ちがより大きくなっていた。
佳孝さんの存在は、いつだって、私を強くしてくれる。
リハーサルが2日後に迫った日の午後、スマホに松澤さんからメッセージが届いた。