囚われのシンデレラーafter storyー
佳孝さんに促され、ソファに並んで腰かける。上半身を前に倒し、肘を膝に置き前を見つめると、静かに話し始めた。
「――実は、俺の父が、2か月ほど前から精神を病んでいる」
「え……?」
病、それに、2ヶ月前。その単語の意味するものの大きさに、言葉が続かない。
「今日は、あずさにとって公演を成功させためでたい日だ。話すのは今日は止めておこうかとも考えた。でも、今日だからこそあずさにきちんと伝えるべきだと思った」
私の知らないところで、佳孝さんはお父様のことでも悩んでいた。
それでも、そんな素振りも見せず、何も言わずに私を応援してくれていた――。
「日々病状は悪化していて、最近は目を離すと危険らしい。そんな父の周りでマスコミらしき影も動いているみたいで。ようやく過去になりかけていたと思っていたが、やはり、簡単には過去のことにはしてもらえないようだ」
隣で淡々と話す佳孝さんのその横顔は、痛々しいほどに真っ直ぐで精悍で。
それは、きっと、これまで背負って来た責任とそれを懸命に果たそうとして来た人の表情なのだと思う。
「終わった過去だけではない、父の病という現在進行形の問題も背負っている」
膝に肘を置き前を見ていた横顔が、ゆっくりと私に向けられた。