囚われのシンデレラーafter storyー
「私は、ずっと佳孝さんといますから!」
佳孝さんに身体を寄せた。
その広くて大きな背中を抱きしめたかった。
「再会した時、そう約束しましたよ。どんな苦労もどんと来いって。佳孝さんが隣にいてくれたら私は無敵なんです」
「あずさ……」
もう、責めないで。
佳孝さんはきっと、いろんなことで自分を責めて来た。
でもせめて、私に対する罪悪感だけは。
それだけは、持たないで――。
「あなたのおかげで今の私がいるんです。佳孝さんに出会っていなければ、私は今日の舞台にすら立っていない!」
広くて、凛とした佳孝さんの背中が好きだ。
この背中に守られ続けて来た。
その庇護の中で、何も知らずに、笑っていた。
お父様のことも、松澤さんとのことも、何も知らずに……。
それは、すべて佳孝さんの想い。
私のためなら自分の感情なんて平気で捨ててしまえる人だから。
私にそんなことが出来るだろうか。
佳孝さんは、本当の意味で強い人なのかもしれない。だからこそ、今度は、私がこの背中を守りたい。
「佳孝さんは、私に世界で活躍してほしいって思うかもしれないけど、私にはそれ以上に大切なことがある。あなたがくれた道だから。何があっても絶対に弾き続けます。そうすれば、バイオリニストの道は終わらないよ」
その身体をきつくきつく抱きしめる。
「佳孝さんが辛い時も苦しい時も、一緒にいて二人で乗り越えたい。あなが私を愛してくれるみたいに、私も佳孝さんを愛したい」
佳孝さんの腕が私の背中に回されて、強く抱き寄せた。
「……あずさ、ありがとう」
佳孝さんといられることが、私の一番の幸せだから。
「好きな人と一緒にいたい、ただそれだけです」
「そうだな……」
私の方が抱きしめていたはずなのに、気づけばその身体にきつく包まれていた。
「ずっと、一緒にいてください。それが、あなたが私を幸せにできる唯一の方法なんです」
佳孝さんの呼吸が、ふっと止まる。
「……この先何か起こっても、その言葉を思い出すよ」
「はい」
きつく囲う佳孝さんの腕が緩む。
背中にあった手のひらが、私の頬を包んで。
私を真っ直ぐに見つめてくれた。
「あずさ」
その眼差しも、声も、触れてくれる感触も。何もかもが、私の胸をいっぱいにする。
そんな人、佳孝さん以外にいない。
「俺を愛してくれて、ありがとう」
その言葉にぶわっと涙が溢れた。
「私もです。こんなにも愛してくれて、ありがとう」
佳孝さんがそんな私の顔を両手で包み、何かを堪えながらもとびきり甘い笑をくれた。
――愛してる。
それは、佳孝さんだけがくれる、尊い感情だ。