囚われのシンデレラーafter storyー

「えっと、まず、チョコレートですね」

テーブルの真ん中に、丸いチョコレートを置く。

「このチョコレート大きいでしょう? ケーキみたいに見えなくもないと思って選びました」
「パリの街で探し回ったのか?」

佳孝さんの驚きと心配そうな視線が飛んで来る。

「ホテルの近くに、いい店があったんです! それから……ワインですね。グラス借りてもいいですか?」
「それなら、俺が準備するよ」
「いや、主役は座っていてください。大丈夫です」

手のひらを両方差し出し、立ち上がろうとした佳孝さんを制止する。
食器のありかは分かっている。
素早く持ち出し、テーブルに二人分のグラスを置いた。

「それから、蝋燭。あ、これ、蝋燭じゃなくてキャンドルって言うのかな」

「それ……火をつける作業が結構大変そうだな。33本……だろ? それにしても、凄い量だ。これも、パリ(こっち)で買ったのか?」

両手いっぱいに抱えたキャンドルに、佳孝さんが若干引いている。

「はい! おかげで、ここに持ってくるのにスーツケースのスペースをほとんど奪ってしまいました」

形、色、大きさ、様々なキャンドルを並べるがすぐにテーブルは一杯になる。

「仕方ないですね。キャビネットの上や窓際、ソファの前のローテーブルにも置いていいですか?」
「ああ。いいよ。それより、やっぱり俺も手伝うよ」
「え……でもっ」
「あずさが一人で準備しているのを待っていたら、いつまで経っても始まらないだろ?」

佳孝さんの言葉に素直に頷く。

「……確かにそうですね。じゃあ、お願いします」
「了解。じゃああずさが並べてくれ。俺が火をつけるから」

佳孝さんもどこか嬉しそうに、キャンドル一つ一つに火を付けて行ってくれる。

「――なんだか、凄いことになりそうだな。ここはどこかのテーマパークか?」
「綺麗ですよね。それに、思っていたよりずっとロマンチック」

部屋中に並べたキャンドルに火がともる姿は、圧巻だった。

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