囚われのシンデレラーafter storyー
「ありがとう。今日は、あずさのバイオリンを二度も聴けて、最高に贅沢な夜だな。キャンドルにチョコレートにワインに、十分過ぎるほどにプレゼントをもらったよ」
「もう一つ、プレゼントがあるんです!」
「まだ、何かあるのか?」
目を丸くする佳孝さんに頷く。
「気に入ってくれるか心配なんですけど……」
少し緊張しながら、紙袋を渡す。
「開けても、いい?」
「はい」
佳孝さんが包装された箱を取り出し、丁寧にその包み紙を開いて行く。
「――ネクタイか。あずさが選んでくれたのか?」
「はい。物凄く悩んだんです。佳孝さんのスーツ姿、いつも素敵で。私、ファッションセンスにはまるで自信がないので」
「凄くいい。あずさに選んでもらえたものなら何だって嬉しいが、本当にいい。大切にする。使い過ぎて、ボロボロにしないように気をつけないとな」
ボルドー色の生地に小さな白い水玉模様のネクタイを手にして、子供みたいに喜んでくれる佳孝さんに心からホッとする。
「……あずさ」
「はい?」
「こっちに来て」
手招きされて、それに従う。
「どうしたんですか?」
「せっかくだから、あずさがこのネクタイ締めてみてくれ」
椅子に座る佳孝さんのすぐ傍に立つと、ニコニコとして私を見上げる。
「え? あ、あの、でも、私、ネクタイってしたことなくて……」
「大丈夫。俺が教えるから」
そう言って私の腰に手を当て、身体を引き寄せられた。
ち、近い――!
間近に迫った佳孝さんが、更に蠱惑的な眼差しで私を見る。
「今後のための練習だと思って。ダメ……?」
そんな目でお願いされれば、ノーと言えるわけがない。
「が……頑張ります」
「ありがとう」
私の答えに満足そうに微笑んだ。