囚われのシンデレラーafter storyー
「そこで、間に通して――」
すぐ目の前には端麗な顔があり、長くて男の人らしい骨ばった指が私の手を器用に操る。
「そうだ。それを一度巻き付けてから、隙間に差し込む」
触れ合う指がなんだか艶めかしくて。
薄暗く明かりが揺れるせいで伏せられた目に作られる影が、よりその造形を美しく見せる。
説明してくれる佳孝さんの唇にばかりに目が行ってしまって、ネクタイの締め方が全然頭に入って来ない。
「あとは、あずさから見て結び目の形が整うようにしてみて――」
佳孝さんを近くで感じるといつもこうだ。
こんなにもおかしなことばかりで頭がいっぱいになっていると知ったら、佳孝さんは呆れるだろう。
「あずさ、何を見てるんだ……?」
「え……っ!」
導くように重ねられていた佳孝さんの手が、私の手を掴む。
「結び目を見てないで、何を見てる?」
「あ、いえ、ちゃんと結び目を見てます」
「嘘だ。じゃあ、どうしてこんな歪な形になってる?」
言い逃れなんかさせないとばかりに、鋭い視線が私を見上げている。
確かに、傾いているしバランスも悪い。
私は、違うところにばかり意識が向いていた。
「ごめんなさ――っ」
突然勢いよく掴まれた手をそのまま引き寄せられ、あっという間に佳孝さんの脚の上に座らされていた。
咄嗟に佳孝さんの肩に手を置く。