囚われのシンデレラーafter storyー

「……疲れただろ?」
「ううん、疲れていないです。飛行機に乗っただけですから――」

朝、普通に起きて、練習して。
午後、飛行機に乗っただけ――。

疲れなんかより、会いたかった気持ちの方がずっと強い。

間近にある西園寺さんの身体に、胸がドクンと跳ねる。

「でも、明日も明後日もある。今日は、ゆっくり休ませてやりたい。そう思っているのは本当だ」

西園寺さんが私を優しく抱き寄せる。
その腕は優しくても、胸の鼓動が早いのに気付いた。

「だから今、懸命に自分に言い聞かせてる。このまま大人しくあずさに安眠を保証しろって」

その言葉に、ついふっと笑ってしまう。

「私、本当に平気ですよ。だから、いいです。私だって、西園寺さんと――」

って、これじゃ私、ねだっているみたいだ。

「……バカだな」

甘く囁くように吐かれた声がして、そのままソファに押し倒された。
すぐ目の前に、西園寺さんの顔がある。

「そんなに俺を甘やかしていいのか?」
「え……っ?」
「せっかく、頑張って今日のところは耐えようとしていたのに」

大きな手のひらが私の髪を撫で、そのままその手が滑る。

「さっきの店で。あんな風に、真っ直ぐに可愛いことを言われて、俺がどれだけ耐えたのか分かっているのか? あの場で押し倒してしまいたい気分だった」

そのゆっくりな手の動きが、余計に官能的で。私の胸の高鳴りも増していく。

「ただでさえ、我慢に我慢を重ねた状態の俺に、そんなことを言ったらどうなるのか知りたいって言うなら――」

優しく撫でていた指が、私の顎に添えるようにして触れて。

「いやというほど、分からせようか」
「――ん」

呼吸ごと飲み込むように、唇を塞がれた。

< 24 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop