囚われのシンデレラーafter storyー
「あ、あの……佳孝さーん」
ズボンを持って来てもらおうと、バスルームの扉から顔だけを出して佳孝さんを呼ぶ。
ここからはリビングの部屋を見渡すことは出来ない。
あれ、返事がない。
聞こえないのかな。
「佳孝さん、すみませーん」
寝ちゃった――とか?
こちらから見ることのできるリビングの入り口辺り、まだキャンドルの火は残っていた。
火をつけたまま寝ちゃっているのなら危ないよな……。
諦めてこのまま出て行くことを決意する。
それにしても、この落ち着かなさったらない。日頃、私は、ほとんどがパンツスタイルだ。ミニ丈の服も着たこともない。意味なんてないけれど、前開きタイプのパジャマの裾を引っ張りながら、恐る恐るリビングへと向かった。
佳孝さん、いないよね……。
とりあえず、キャンドルの火を消さなければとそれだけを考えていた。
「――あずさ」
え……っ!
リビングに足を踏み入れキャンドルの一つに息を吹きかけようとした時、後ろから佳孝さんの声がした。はっとして、振り返る。
「……想像以上に、たまらないな」
「起きていたんですか? だったら返事してください。ズボンがなかったので、貸してもらえますか?」
慌てて裾を引っ張った。
「どうしてだ?」
どうして――?
思いもしない返事に唖然とする。
「で、でも、ないと困るので――」
私の傍へと近付いて来て腕を取り、そのままソファへと座らされた。