囚われのシンデレラーafter storyー

「嫌だった……?」

少し、心配になったような声が背後から聞こえて来る。
私の身体を包み込むようにして回された腕にぐっと力が入った。

「そう、じゃなくて……っ。私ばかり気持ちよくて、この前も今日も、西園寺さんにしてもうらうばかりで。こんなことで、西園寺さんは満足、出来ているのかなと、思ったり、思わなかったり……」

語尾が尻すぼみになる。

「そんなことか」

安堵したような吐息を耳元で感じる。

「あずさは、俺に抱かれている時、幸せを感じられている?」

西園寺さんが、私をぎゅっと抱きしめながら肩にその顔を載せる。

「もちろんです。愛されてる……って実感できるから、凄く、幸せです」
「――それならよかった。それを聞いて、ホッとしたよ。俺にとって一番大事なのは、そこだから」

ちゅっと、私の頬にキスをした。

「あずさを幸せな気持ちでいっぱいにしたい。心も身体も、両方満たさないと意味がない。気持ちよさそうにしてくれている姿を見ているだけで、俺も気持ちいい。だから、俺もあずさから、たくさん与えられてる」

西園寺さんの手のひらが私の顎を掴んで、後方へと向けさせる。

「心から愛してる人と抱き合える、それがどれだけ幸せで満たされることか。それに……」

西園寺さんの唇が私の耳に寄せられた。

(――あずさの中、最高に気持ちいいんだ)

触れる唇と吐息に、危うく声が漏れそうになった。

「……好きだよ。あずさ」

甘く見つめてくれる視線と、甘く囁く声。

「西園寺さん……」

互いに自然と唇を重ね合わせた。
そっと唇を離してから、額を合わせる。

「でもね。いつもいつも西園寺さんに翻弄されているから、私も、いつか西園寺さんを翻弄したいって思うんです」

そう言うと、西園寺さんがふっと笑った。

「――分かった。楽しみにしておく」

そして、二人で顔を見合わせて笑う。

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