囚われのシンデレラーafter storyー
「どうして? 俺は"あずさ"と呼んでいるだろ? 同じにするのが自然じゃないのか?」
「全然、自然じゃないです。西園寺さんを呼び捨てになんて、絶対にできない!」
思わず声を張り上げてしまった。
「絶対って……何故だ?」
そうしたら、西園寺さんがどこか傷付いたような目をしていて。
今度は慌てる。
「あ、その、嫌とか、そういうことではなくて。ずっと、"西園寺さん"と呼んで来たんです。それをいきなり名前で呼び捨てなんて、ハードルが高すぎます」
「あの男には、名前で呼んでいたのに、俺にはできない?」
「え……?」
あ――。
”マルク”
マルクと呼んでいるけど、でも、あれは。
「それは、相手は10も年下の男の子だからです。それに、外国でのことだし。西園寺さんとは全然違う」
「なんとなく、面白くない」
その声に、さらに慌てる。
「じゃあ、こうしましょう。"佳孝さん"……でどうでしょう?」
最初だから、そう呼ぶのすら緊張する。
でも、西園寺さんのお願いに応えたい。
「なんだか、他人行儀だな」
「そんなことはないです。名前ですから。名字じゃないですよ!」
もう、必死。ここは、どうしても譲れない。
必死も必死、懇願するようにその目を見上げる。
「――それなら、ちゃんと呼んでくれるんだな?」
「はい。ちゃんと、呼べます」
勢いよく頷くと、西園寺さんの表情が変わる。