囚われのシンデレラーafter storyー
「く、苦しい……っ。苦しいです!」
きつく抱きしめたまま、本当に西園寺さんが悶えるように私の身体を揺らす。
「少しずつでいいよ。この一週間で、自然に言えるようになってくれ」
ようやく腕を緩めると満面の笑みを私に向けた。
いつもきりっとした表情の人だから、こんな風に無防備な笑みを見せられると、私も勝手に表情がくしゃくしゃになってしまう。
「はい。西園寺さんのお願いなら、なんだって頑張りますよ」
「え? 誰のお願い?」
「あ――、佳孝さん、です」
二人で顔を見合わせて、吹き出した。
その夜、まるで抱き枕にでもなったかのように、西園寺さんの腕にくるまれて眠った。
こんなに幸せで、楽しい夜はあっただろうか。
こんな風に心から笑い合って、他愛もないことをお喋りして、眠りにつく。
過去に、西園寺さんと一緒に眠りについた夜は数えるほどしかなかったけれど、そのほとんどは苦しい夜だった。
この幸せが、
これからも続いて行きますように――。
幸せで、幸せで。そう願わずにはいられなかった。
好きです。あなたが、好き――。
その胸に頬を埋める。大きな手のひらが抱きしめてくれる。
温かくて優しい夜が更けて、私は自然に夢の中へと落ちて行った。
瞼の向こうから、光を感じる。その眩しさに、ゆっくりと瞼を開く。
「――あずさ」
目を擦り、もう一度しっかりと瞼を開いた。
「おはよう」
あ――。
私を優しく見つめる眼差しが視界を埋める。
「……おはようございます」
目が覚めて、西園寺さんがいる――。
「ちゃんと、寝られた? 疲れは取れたか?」
私の額に触れると、髪を優しく撫でてくれた。
その手の感触に、胸の奥がきゅんとする。
「はい。熟睡です。たっぷり寝られたので、すっきりです」
本当にしっかり寝たという感覚があるのだけれど、一体、今何時なのだろう。
「それなら、良かった」
窓の向こうの空は、快晴だ。
「――じゃあ、出掛けよう。あずさと行きたいところがたくさんあるんだ」
「はい!」
その笑みに勢いよく答えた。