囚われのシンデレラーafter storyー
「ごめんなさい、私――」
「忘れてた?」
追い詰めるみたいに、その顔が少しずつ私の方へと落ちて来る。
「いつもの習慣で、つい――」
「いつになったら思い出してくれるのかと、待っていたんだけど」
「だ、だったら、言ってくれれば――っ」
私の両手首を掴みマットレスに押さえつけた。
「俺が言わなきゃ思い出してくれないのか? それは、あまりに寂しいな」
「あ、あの、ごめんなさい……っ、ひやっ」
西園寺さんによって、手首を強くシーツに縫い付けられて身動きの自由を奪われる。
そんな私の首筋に、冷たい唇が触れた。
少しずつそれが滑り、鎖骨の窪みを通りパジャマの胸元へと落ちて行く。
「ま、待って――」
「お仕置き、しようか……」
そんな質問、ありですか――?
「で、でもっ、西園寺さん、少しずつ慣れていけばいいって、言ってくれました――」
「言い訳か? 悪い子だな」
「んん……っ」
一見、許可を取っているようで、返事なんてまるで聞く気がない。
だってもう既に、私の自由を奪って、その唇は意地悪に私の身体のラインをなぞり始めている。布越しに膨らみをたどるように滑って行く唇に、身体は嫌でも反応してしまう。
むしろ、中途半端に刺激されたそこが、もどかしくて苦しい。
「あっ――」
声にならない声を、西園寺さんの唇に飲み込まれた。重なった唇に、私からも求めるように舌を絡めてしまう。
でも、その唇さえも離れて行った。
「――その顔。どうしたんだ?」
きっと、物欲しげな顔をしているんだろう。
こんな表情隠してしまいたいけれど、手首は押さえられたままでどこにも逃げられない。仕方なく、ぎゅっときつく瞼を閉じる。
「ごめん。意地悪し過ぎたな」
ふっと息が漏れると、今度は優しく重ねるだけのキスをしてくれた。
「……俺も、理性を総動員して我慢するから、今日は二人で大人しく寝よう。明日は少し早起きしたいんだ。ここで耐えなかったら、明日が台無しになるのは間違いない」
そう言って、堪えるように私の首筋に頭を埋める西園寺さんが、なんだか可愛い。
「何を、笑ってるんだ。笑っている場合じゃない」
西園寺さんの顔が真上に再び現れる。
「名前のこと。今日のところは許すけど、明日もこの調子だったら――明日の夜こそ、酷い目に遭うぞ?」
「頑張りますから。少しずつで許してくださいっ」
「なら、明日、ミスは3回までだ。それ以上は不合格。よってペナルティ」
「そんな……! やっぱり、話が違うと思うんです。西園寺さん、一週間かけて慣れればいいって――」
「この期に及んで、まだそう呼ぶか?」
「あ……っ、もうっ! この口っ!」
私がそう声を上げると、西園寺さんが笑った。
「頑張れよ? 明日、楽しみにしてる」
笑みと額にキスをくれ、私をぽんぽんと抱きしめた。
どうしよう。幸せ過ぎて。
結局、笑顔ばかりで。この2日で、この2年分の笑顔をとうに超えてしまった。