囚われのシンデレラーafter storyー


 それからソファに座り、飾る写真を選ぶことにした。

「結構、撮りましたねー」

撮影した写真を順番にスライドさせて行く。

「これなんかどうだ?」

西園寺さんが、その手を止めた。

「たくさんあるのに、どうしてこれなんですか?」
「あずさが、可愛いからに決まってる」

それは、撮影の準備の時間を与えられずに突然撮られたもの。当然、私は間抜けな顔をしている。

「こんなの、全然可愛くないです。他のにしましょう」
「そうか? 俺は、好きなんだけど――」
「ダメです」

次の写真にスライドした。

「じゃあ、これは? あずさがマカロンを大喜びで食べているところだ。本当に、食べている時のあずさは幸せそうだ」
「また、そんな……。佳孝さん、今、この写真見て笑ってるじゃないですか!」

口元を押さえながら、タブレットを見ている。

「笑ってるんじゃない。微笑ましく見てるんだ」
「嘘! こんな写真嫌です」
「また、却下か?」

不服そうな西園寺さんに構わず、またスライドさせた。

「あ、これなんてどうですか? 凱旋門の展望台で撮影したものです。景色もいいし、私と佳孝さんの写るバランスもいい」

西園寺さんが選ぶ写真は私ばかりが写っている。でも、これは、ちゃんと二人一緒のものだ。

それに――。

「何より、佳孝さんがかっこいいです」

どの写真も間違いなく西園寺さんはかっこいい。甲乙付けがたいのだけど、このアングルは最高で。いつまででも見ていたい。私のお気に入りだ。

「いや、普通過ぎて面白くない。それに、俺の部屋に飾るんだ。俺はどうでもいい。あずさ、これは?」

既に次の写真に変わってしまっていた。

「あずさの振り向きざまに俺が撮った写真だ。我ながら、いい写真だって思っていた。これがいい」
「――」

不意うちで撮られて、目を見開いて口まで開いている。それも、超アップ。見ていられない。

そんな写真ばかり――。

「あずさ、これにしよう」
「部屋に飾って置いておくものなんですよ? たまに見て笑うためじゃないんです。もっと、真面目に考えてください!」
「どうしてこの写真がダメなんだ? 最高に可愛いじゃないか」
「本気で言ってますか? この顔のどこが可愛いの? 酷い顔です」
「酷いだって? 俺の恋人を悪く言わないでくれ。どこからどう見ても愛らしい」
「自分の顔です。一番良く分かってる」
「強情だな。そのうえ、分からずやだ」
「西園寺さんだって、全然分かってくれない――」

いつのまにかヒートアップして。二人顔を見合わせる。

「俺たちの、初めての喧嘩かな」
「うん。初めて言い合いをしたかも」

そして、二人して吹き出してしまった。

なんだろう。
喧嘩して喜んでいる私たちがいる。

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