囚われのシンデレラーafter storyー
翌日は、私の方が先に目を覚ました。しっかりアラームをセットしたのだ。
今度こそ、私が西園寺さんを起こしたい。
そっと身体を動かし、隣でまだ眠る西園寺さんを見つめる。
考えてみれば、こうして朝に西園寺さんが寝ている姿を見たことはない気がする。
仰向けに寝ている西園寺さんの寝顔を覗き込む。
こんな風に、西園寺さんの顔を気が済むまでじっと見られるチャンスはない。ここぞとばかりに、じっと見つめた。
閉じた瞼から流れる長いまつ毛。すっと、なだらかで歪みのない上昇線を描く鼻梁。眉毛と目のバランスが好き。西園寺さんの凛々しさの半分はここから来ていると私は思っている。
でも、この整った額の形も好き。
でも、この横から見た時の、耳から顎までのラインも好き。
そして、この唇。まっすぐに引き結ばれて。凛々しさの残りの半分はこの唇。
他の人に見せる西園寺さんの唇は、理知的で、甘い言葉なんて一切口にしなそうなクールなものなのに。
――あずさ。
この唇が、甘く囁き、私に触れ、キスをする――。
引き寄せられるように、そこにある薄く開いた唇に近付く。
目を閉じている西園寺さんの唇に、あと少しで触れそうだというちょうどその時。
「……っ!」
突然、西園寺さんの目が開いた。
「あっ、わ……お、おはようございます――」
今の今、しようとしていたことを誤魔化すために勢いよく離れようとしたのに、何故か身動きが取れなかった。
「今、何をしようとしていたんだ?」
「え? い、いえ。そろそろ、起こそうかなって」
西園寺さんの腕が私の腰をがっしりと捕らえていた。